毎日行う歯磨き。
特に何も考えず、惰性で歯を磨いていませんか?
歯の磨き方は虫歯の発生率に大きく関わります。
口臭や虫歯を予防したいのであれば、正しい方法での歯磨きは必要不可欠です。
あなたがもし、以下のような歯磨き方法をしているのであれば、それは間違った歯磨きですので、今すぐ正す必要があります!
間違った歯磨きをしていませんか?
- 歯磨き粉を付ける前に歯ブラシを水で濡らしている
- 歯ブラシや歯磨き粉はフィーリングで選んでいる
- 歯を磨くときは力強くゴシゴシと磨いている
このような歯磨きは、実は全て間違っています。
このような磨き方を続けていると、虫歯や歯周病になるし、口臭もひどいことに・・・。
では、正しい歯磨きの方法はどのようなものかというと、以下のような歯磨きが正しい方法です。
正しい歯磨き方法
- 歯ブラシは水で濡らさない
- 歯は軽い力で磨く
- 大人の歯ブラシはヘッドが小さく、柔らかいタイプを使う
- フッ素入りの歯磨き粉を使う
- 歯磨き後30分は飲食しない
あなたはこのような方法で歯磨きが出来ていましたか?
しっかりと正しい歯磨きが出来るように、、やり方・タイミング・道具という3つの視点から説明していきます!
虫歯が発生する原因
まず初めに、「なぜ虫歯が発生するのか」、そのメカニズムを説明していきます。
虫歯の原因は虫歯菌です。
代表的なミュータンス菌は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
人が糖分を摂ると、歯の表面に糖の成分が膜のように付着します。
その膜を餌として、虫歯菌が増殖することで、プラーク(歯垢)が形成されます。
プラークは白色や黄色っぽい色をしているので、見た目ではわかりずらいのですが、舌で歯をなぞってザラザラした感触があれば、それはプラークが付着している証拠です。
このプラークは虫歯菌を始めとする様々な細菌の棲み処、いわば菌の塊です。
プラーク1mgあたりに、約600種1億個以上もの細菌が存在していると言われています・・・。
この虫歯菌が、糖を餌として「酸」を作り出し、歯の表面のエナメル質を溶かしていく。
これが虫歯になるメカニズムです。
したがって、虫歯を防ぐには、プラークを作り出さない、もしくはプラークを長い間放置しておかないことが大切になってきます。
口内の酸を防ぐ、唾液の効果
本来、口の中は中性に保たれています。
しかし、食事を摂ることで口内は酸性に傾きます。
これを中性に戻すのが唾液の働きの一つです。
梅干しやレモンなど酸っぱいものを想像するだけで唾液が出るのは、酸性を中性に戻そうと唾液が働きだしているからなんです。
また、虫歯菌が作り出す酸を洗い流したり、虫歯菌自体を洗い流すことにも唾液は重要な働きを持っていますし、虫歯菌によって溶かされた歯のエナメル質を修復(再石灰化)する働きもあります。
ただし、この唾液の働きにも限界があります。
寝ているときは唾液の分泌が極端に減りますし、プラーク(歯垢)の量が多すぎると唾液の働きが追いつきません。
ですので、虫歯を予防するためには、糖の摂り過ぎを抑えたり、毎日の歯磨きが大切になってくるのです。
正しい歯磨きの方法
前置きが長くなってしまいましたが、それでは正しい歯磨きの方法を説明していきます!
正しい歯磨き方法は冒頭でもお伝えした通り、5つのポイントが大切です。
正しい歯磨き方法
- 歯ブラシは水で濡らさない
- 歯は軽い力で磨く
- 大人の歯ブラシはヘッドが小さく、柔らかいタイプを使う
- フッ素入りの歯磨き粉を使う
- 歯磨き後30分は飲食しない
これらのポイントについて、もう少し詳しく説明していきますね。
1. 歯ブラシは水で濡らさない
歯磨きをする前に歯ブラシを水で濡らしている人って多いと思います。
その方が、歯磨き粉の泡立ちも良いですもんね。
もしかすると、まず歯ブラシを洗わないと汚く感じる人もいるかもしれません。
(私は以前はそうでした。)
しかし、歯ブラシを水で濡らしてしまうと、歯磨き粉の泡立ちが強すぎて、十分に歯を磨けていないのにも関わらず、しっかりと歯を磨けている錯覚に陥ります。
さらに歯磨き粉に含まれる研磨剤の働きも泡立つことで弱くなります。
歯ブラシは乾いた状態、もしくはしっかりと水を切った状態で使用するようにしましょう。
2. 歯は軽い力で磨きましょう
歯を磨くときって、しっかりと汚れを落とそうとゴシゴシと力強く磨きがちです。
しかし、力強く磨くほうがかえって汚れが落ちにくいのを知っていますか?
古くなった歯ブラシを、洗面台周りの掃除ブラシとして使った経験がある人は思い返してください。
強い力で掃除しようと磨いたら、毛先が開いて全然汚れが落ちなかった経験はないでしょうか?
強い力で歯を磨くと、それと同じことが口内で起こっています。
毛先が開くと歯を毛先ではなく、毛の面で磨くことになるのでべっとりと付いたプラーク(歯垢)は落ちません。
毛の面で磨くのではなく、毛先の点で磨く意識を持ちましょう。
同じ理由で使い古して毛先の開いた歯ブラシでは、十分に歯を磨くことはできませんので、新しいものに買い替えましょうね。
ポイントは鉛筆を持つように3本の指で歯ブラシを持つことです。
3本の指で持つことによって力が入りにくく、自然と軽い力で歯を磨くことができますよ。
3. 歯ブラシはヘッドが小さく、柔らかいタイプを選んでください
あなたは歯ブラシを選ぶときの基準はなんですか?
私は以前は小さめのヘッド、硬めのタイプを選んでいました。
実は、歯ブラシのタイプはなんでも良いわけではありません。
歯ブラシを選ぶ上で重要なことは、
- ヘッドは小さいものを選ぶ
- 毛先の硬さは柔らかいものを選ぶ
この2点です。
まず、なぜヘッドは小さいの方がいいのか。
これはヘッドが大きすぎると歯の奥の細かな部分までしっかりと磨くことが出来ないからです。
私はその点は普段の歯磨きで感じていたので、自然とヘッドの小さいものを選んでいました。
次に毛先の硬さはどうでしょう。
私は硬いほうがしっかりと磨ける気がしていたので硬いものを選んでいましたが、これは誤りです。
歯ブラシの毛先が硬いと、痛みがスッキリ感につながり、不十分な歯磨きでも磨けていると錯覚しやすいというデメリットがあります。
また、軽い力で歯磨きが出来ている人なら大丈夫ですが、硬いブラシで強く歯を磨くと、歯や歯茎を傷める結果につながります。
木のまな板を思い浮かべてください。
包丁で傷が付いた部分って、いくら洗っても次第に黒ずんできますよね。
硬い歯ブラシで力強く磨くということは、あなたの歯にこれと同じ現象が起こっています。
歯に傷がつくと着色や汚れが付着しやすくなるのです。
歯ブラシはヘッドが小さく、毛先の柔らかいタイプを選びましょう。
4. 歯磨き粉はフッ素入りを検討しましょう
フッ素は世界的に見ても、虫歯予防に効果があると見られています。
フッ素の虫歯予防効果
- 歯の「エナメル質」の修復を助ける
- 歯の「エナメル質」を強化して、酸に強い歯にする
- 虫歯菌の働きを弱め、酸を作り出す力を弱くする
最近では日本でもフッ素入りの歯磨き粉をみかけますが、国によっては虫歯予防の為に水道水にフッ素が添加されている国もあるほどです。
ただ、なぜかフッ素に関してはマイナスな印象を持っている人もおり、意見が分かれることがあるのも事実です。
私が通院している歯医者ではフッ素を推奨していることもあり、私は歯磨き後にフッ素ジェルを使用していますが、必ずしも予防歯科にフッ素を使わなければいけないということでもありませんので、選択するのはあなた次第です。
参考になるかわかりませんが、以下に大阪の「ながせデンタルクリニック」の院長のブログを引用しておきますので良かったら目を通してみてください。
私は3児のパパです。
3児ともに、虫歯は0でございます。
このことを患者さんにお話すると、イロイロな反応が返ってきます。
私自身も24年間にわたって、一本も虫歯を作ったことがありません。
24年前。中学生のときまでは、虫歯が沢山ありました。
ところで、私自身の子供達にはフッ素塗布を実施しています。
上記のブログでも書かれていますが、情報社会である現代、その情報が有用であるか否かを選択するのはあなた次第です。
5. 歯磨き後、30分は飲食を控えましょう
歯医者さんでも意見がわかれる部分なのですが、もし、フッ素入り歯磨き粉や、フッ素入りジェルなどを使用したときは、歯磨き後30分は飲食を控えましょう。
フッ素が歯に定着するまでには少し時間がかかりますので、その前に飲食をしてしまうと、せっかくのフッ素が流されてしまいます。
なぜ、意見が分かれるのかというと、歯磨き粉配合のフッ素の場合、うがいすすぎをした時点で約9割程度のフッ素は歯磨き粉と一緒に流れ出ると言われているからです。
そもそも、口内にフッ素成分が残っていないので、飲食に気を付けるまでもないということみたいです。
この後でも説明しますが、フッ素配合のものを使用するのであれば、歯磨き粉よりは歯磨き後のフッ素ジェルやフッ素スプレーなどを利用するのが一番と言えるでしょう。
歯磨きは1日何回?歯磨きをするタイミング
あなたは1日に何回歯磨きをしていますか?
多くの人が朝と夜の1日2回ではないでしょうか?
では、タイミングはどうでしょう?
朝の歯磨きは起きてすぐ磨きますか?それとも朝食後ですか?
歯磨きをする回数やタイミングについて説明していきます。
歯磨きの理想の回数は1日5回
多くの歯医者さんが答える歯磨きの理想の回数は5回と言われています。
内訳としては、朝昼晩の食後の3回、そして朝起きてすぐと夜寝る前の2回の合計5回です。
ただし、1日5回の歯磨きはなかなか実践することは困難ですよね。
ですので朝起きてすぐと寝る前の最低2回は歯を磨きましょうというのが多くの歯医者さんが口を揃えるところです。
歯磨きの理想のタイミング
最低2回の歯磨きの場合、最適なタイミングとしてはこの起きてすぐと寝る直前の歯磨きです。
まず、起きてすぐの歯磨きですが、人は寝ている時の唾液の分泌量が極端に減ってしまいます。
■安静時の唾液量 0.2~0.5 ㎖/分
■食事中の唾液流量 約 4 ㎖/分
■睡眠時の唾液量 0.1 ㎖/分以下引用元:東京目黒区歯科医師会
つまり、寝ている人の口の中は、細菌にとってとても繁殖しやすい状況になっています。
起きてそのまま飲食をしてしまうと、口内で大量に繁殖した細菌を体内に摂り込んでしまいますので、起きてすぐに歯を磨く習慣をつけましょう。
同じ理由で寝る直前の歯磨きも大切になってきます。
食べかすや磨き残しがあると、そこを起点として細菌が繁殖しやすくなりますので、寝る前の歯磨きは特に念入りにするよう心がけてくださいね。
ここまでは最低限の2回の歯磨き。
あとは理想としての毎食後の歯磨きです。
食後は歯の隙間に食べかすが残っていますし、なにより食事によって口内が酸性に傾いています。
口内が酸性である時間が長ければ長いほど、歯が侵食される時間が長いということですので、食後はなるべく早く歯磨きをしましょう。
一時期、食後30分は歯磨きをしないほうが良いと言われる時期がありました。
食後、酸性に傾いた口内状況で歯磨きをすると歯を傷めやすいという理由からです。
歯医者さんでも意見が分かれる部分ですが、現在では「酸蝕症(さんしょくしょう)」の人を除いて、食後すぐに歯磨きをした方が良いと言われています。
酸蝕症(さんしょくしょう)とは
歯が身近な酸性の飲食物や胃液によって溶かされる疾患です。以前は「塩酸、硫酸、硝酸などを扱う工場において酸のガスやミストが直接歯に作用して、表面が溶ける」職業病ととらえられていましたが、最近一般の方の口の中にも見られるようになってきました。
ただし、毎食後の歯磨きはなかなか大変だと思います。
毎食後の歯磨きが大変という方は最低でも食後にうがいをするだけでも全然効果はありますよ。
私は1日5回の歯磨きはさすがにできないので、朝起きてすぐと夜寝る前の1日2回の歯磨き。
そして、毎食後のうがいを欠かさず行っていますよ。
歯磨き粉のオススメは?便利な歯磨きアイテムのご紹介
オーラルケア商品はたくさん存在します。
いったいどの商品がいいのか、独自の目線でご紹介していきますね。
虫歯になりにくい歯ブラシの選び方
まず歯ブラシですが、虫歯予防を第一に考えるのであれば、先ほどお伝えしたとおり、ヘッドが小さく、毛先の柔らかいタイプを選びましょう。
この2点さえクリアしていれば、あとはどの商品もそこまで大差はありません。
お好きなものを選んでください。
ただし、歯ブラシは1ヶ月程度で買い替えるのが理想と言われているため、安いものの方が経済的かもしれませんね。
おすすめ歯磨き粉
歯磨き粉に関して言えば、虫歯予防を第一に考えると、どのメーカーのものを使っても構わないという結論になります。
え?フッ素入りの歯磨き粉の方が虫歯予防にはいいんじゃないの?と思われるかもしれませんが、フッ素入りの歯磨き粉はうがいをした時点で、フッ素成分の約9割ほどが流れ出てしまうと言われています。
フッ素の効果を期待しても、あまり意味はないでしょう。
しっかりとプラーク(歯垢)を落とすならデンタルフロスがおすすめ
デンタルフロスを使ったことありますか?
歯ブラシでは磨きにくい歯と歯の隙間のプラーク(歯垢)を落とすならデンタルフロスがオススメです。
個人的には歯間ブラシだと人によっては歯並びの関係で磨きにくいこともあるので、デンタルフロスをオススメします。
私は2~3日に1回就寝前の歯磨き後にデンタルフロスをするのですが、どれだけ念入りに歯磨きをした後でも、奥歯の隙間に歯垢や食べかすが残っています。
デンタルフロスで取れた歯垢や食べかすの臭いを嗅ぐと、何とも言えない臭いがします。。。
口臭にも直結しますので、デンタルフロスを使用することをオススメします。
フッ素成分ならジェルかスプレーがオススメ
虫歯予防でフッ素製品を考えているなら、歯磨き粉よりもフッ素ジェルやスプレーがオススメです。
フッ素入りの歯磨き粉だと、口をゆすいだ段階で約9割ものフッ素成分が泡と一緒に流れ出てしまうと言われています。
フッ素を使うタイミングとしては、夜寝る前にしっかりと歯磨きをした後。
フッ素を使った後は30分は飲食をしないでおきましょう。
定期的に歯医者さんで歯のお掃除をしてもらおう
オーラルケア(予防歯科)には、2つのアプローチがあります。
それが、セルフケアとプロケアです。
セルフケアとは、自宅で自身でする歯磨きなどのこと。
毎日のことですから、オーラルケア(予防歯科)で一番重要になってきます。
そして、もう一方のプロケアとは、プロ(歯医者や歯科衛生士)によるオーラルケア(予防歯科)です。
あなたは、歯医者には最近いつ行きましたか?
小さい頃の思い出が邪魔をして、歯医者に行くのってなんだか敬遠してしまいますよね。
しかし、セルフケアでは届かない細かなところや、歯石の除去はプロにやってもらうのが一番です!
理想は3ヶ月に1度、少なくとも半年に1度は歯医者に行く習慣をつけましょう。
思わぬところに小さな虫歯が見つかるかもしれませんよ。
日本はオーラルケア発展途上国
ここまで、歯磨きの正しい方法、歯磨きの大切さを説明してきましたがいかがでしょうか?
少しはあなたの心に響いていますか?
歯磨きの方法をここまで細かく記事にしたのには理由があります。
それは、「日本人、歯磨きに興味なさすぎな説」だからです。
事実、ほとんどの人が冒頭でお伝えした、間違った歯磨き方法をしていませんでしたか?
日本は世界的に見ても、オーラルケア(予防歯科)の意識が低いのです。
日本人のオーラルケア(予防歯科)の意識についてこのようなデータがあります。
- 日本人の予防歯科への理解は20.9%、欧米は約6割が理解
- 日本人の予防歯科への実践は26.2%、欧米は約7割が実践
また、歯ブラシやデンタルフロスなど、オーラルケア商品にかける年間平均金額は、日本4,965円に対して、アメリカ8,354円、スウェーデン8,415円と欧米は日本人の2倍近くもの費用をオーラルケア(予防歯科)にかけているんです!
このような意識の違いには欧米の割高な医療費も関係していると言われています。
歯の神経を抜いたら10万円も請求された・・・なんてことも欧米ではよくあります。
オーラルケアを徹底したほうが経済的なんですね。
東京オリンピックも控え、外国人との交流も増えてくる日本。
外国人に「日本人の口臭ひどすぎ・・・」と思われないためにも、日ごろからオーラルケア(予防歯科)を実践していきたいですね。